フィリピン・ルソン島の北部の山岳地帯に広がるコルディリェーラの棚田群(Rice Terraces of the Philippine Cordilleras)は、1995年にユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録されました。
ちなみに、コルディリェーラとはスペイン語で山脈を意味します。

つまり、山脈にある棚田群ということで、その一帯の棚田群が世界遺産に登録されています。
棚田の総延長は20,000kmを越えるとも言われ、棚田の規模としては世界最大ともいわれています。
その歴史は古く、山岳民族のイフガオ族などが紀元前1000年～紀元前100年から造成しはじめたといわれています。
軽く2000年を越える前からあるんです。

この棚田群は、一帯の山脈に広がり至る所で大小様々な棚田を見ることができます。
その中でも大規模な棚田が広がるのが、バナウェ(Bnaue)にあるライステラス。

至る所にVIEW SPOTがあり、ただ眺めるだけでも感慨深くスケールの大きさを感じることができます。
しかし、こちら現地ローカルガイドの案内で棚田の中に入っていくことができます。
おそらくローカルガイドが居ないと、迷路のようになっているこの棚田のあぜ道では高確率で迷うと思います笑



棚田のその中はと言うと、このような感じの人1人が通るのが精一杯のあぜ道。

しかも、アップダウンの起伏があり、これが結構キツイ。
ハシゴや岩場を通る場所もあります。

そして途中には、ちゃんとサリサリストアやローカルレストランもあります。
集落の中も進んでいくので、地元の方の生活も垣間見ることができます。



中でも私が気に入ったのがこの棚田。

規模はそこまで大きくないものの、本当に階段のようで、この階段はそのまま天国へ続いていくのか、そのともこの山の誰かが使っている階段なのか。
しかし、その規模は通常私たちが使う階段の大きさとは比較できない。その現実感とのギャップにとても神秘的な気分になりました。



この棚田、あぜ道から見ても分かるように、農耕機なんて入っていけません。
多少カラバオ(水牛)を使うことはあるらしいのですが、今でもそのほとんどが手作業。

ちょうどこの時期が田植えの時期となっており、それが世界遺産であろうことなど関係なく、古くからここに住みこの棚田を生活の糧とし、この棚田で生きてきて、そしてまたこれからもこの棚田で生きていく。そんな地元の人々にお話を聞かせてもらう機会があり、とても意味の深いものとなりました。

しかしこのエリアは、ルソン島の中でも田舎に位置し、若者の多くは都会へ出ていくことが多いそうです。
それに伴い人手不足となり、休耕田や放置された田んぼも増えているそうです。
爆発的に若者が増え続けているフィリピンでも田舎離れの若者が多く都会に集中する。やはり一極化するんですね。
日本でもそうですが、こういった古い伝統などが失われているのは、寂しいものですよね。


そして、棚田の中のあぜ道を進んだのには理由があります。

もちろん１つは、棚田そのものの中を通り間近でそれを見ること。
そして、もう１つはこれです。

棚田を進んだ先には滝があるのです。
タピヤフォール(Tappiyah Falls)。
写真を見てお分かりのように多くの外国人、特に欧米人の方々が水着を着ています。

そうなんです。
この滝で泳ぐことが、もう１つの目的なのです。

長い道のりを歩いて来て、疲れて火照った身体を冷たい滝が癒してくれます。



ここで情報としてお伝え致します。

バナウェに行こうとお考えの人は、この滝を目指してください。
正直、道中は大変ですが棚田だけではもったいないです。

その時には、水着を持参してください。
もちろん更衣室なんてないので、朝ホテルから水着を着ていくことをオススメします。
(中には下着で泳いでいる人もいました)

また、ちゃんとトレッキングシューズやスニーカーなどで行ってください。
現地の人は、ビーチサンダルで難なく進んで行きますが笑
はっきり言って棚田を歩くなんて楽勝と思ってましたが、実際には思ってた以上に過酷でした。



そしてお昼ご飯はこれ。

バナウェの棚田を眺めながらの昼食です。
お米は、このバナウエで収穫したものと言っていました。

ほんとフィリピンにはたくさん良いところがあります。
このバナウエもそうです。

親切な人々と、開拓されていないからこその美しい自然。
そのコンビネーションがたまらなく良いです。

このスケールは実際に見ないと感じることが出来ないと思います。
ぜひバナウエを訪れて、現在も続く2000年の歴史の素晴らしさを肌で感じてください。


世界遺産コルディリェーラの棚田
英名：Rice Terraces of the Philippine Cordilleras
別名：天国へ昇る階段
web site：http://www.banaue.gov.ph/