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老後2,000万円問題でフィリピン移住!? 実際にかかる生活費は?

2020年06月25日 By: SHIN


今回はフィリピン移住について共有します。若い方のステップアップでの海外就職や年金生活を考える方の生活費計算の参考になればと思います。

老後資金2,000万円問題!?

昨年来、日本では老後資金として2,000万円が必要との「老後資金2,000万円問題」で自身の老後の生活を考え直す人が増えているようです

これは金融庁金融審査会の報告書で、老後を年金のみに頼る世帯では、20~30年間の老後を生きるために約2,000万円の老後資金が必要になるとしているものです。総務省などの調査によると、平均的な収入、支出の状況から男性65歳以上、女性60歳以上の無職夫婦世帯の平均的な年金収入は、月額約20万9,198円ですが、消費支出は約26万3,718円になるとなっています。

つまり、毎月5万4,520円の赤字となり、20年で約1,300万円、30年では約2,000万円の赤字となる計算です。この赤字分は金融資産から取り崩すこととなるとの内容です。
そこで最近徐々に注目を集めているのが、生活費の安い海外で老後の生活をすること。

フィリピンで働く

働き盛りの人では、ステップアップのためや英語の勉強を兼ねての海外就職を希望する人が増えたように思います。またフィリピンでは日系企業の進出も多く、そういった駐在員の方からは南国の温暖な気候、何より生活費が安く、家政婦さんなどを雇い、快適な生活だと聞いています。
海外就職も日本採用での駐在員なのか、現地採用なのかでは状況は異なり給与にも差があります。
また給料とは別に手当てなどのベネフィットがどこまで充実しているかなども注意点の一つです。

しかし、いずれにしても慣れない海外での生活や実際にどれほどの生活費が掛かるのかなど見えない部分が多くあると思います。

そのような不安を現地から生活者の目で考察したいと思います。

 

言語

日本語は日本特有のもので日本以外の国で使われることはありません。
では、日本人にとって母国語の日本語の次に馴染みが深いのはどの言語でしょう。私は、戦後イギリスやアメリカの西洋文化が日本に広まったこと、良し悪しは別として同盟国としてアメリカと緊密な関係を維持していること、日本にはかなりの和製英語があること、アメリカ映画が多く上映されているなど様々な理由から、日本人にとって英語がどの言語より馴染み深いのではないかと考えています。
同じような考えを持ち英語が馴染みやすいという方にとっては、英語圏の国が選択肢になると思います。
英語を公用語としているのは80以上の国と地域があるようです。中でも英語を第一言語としている国は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどとなります。
第一言語ではないが公用語としている国で日本から近いアジア・オセアニア周辺でいうと、フィリピン、シンガポール、マレーシア、香港、グアム、サイパンを含む北マリアナ諸島などアメリカ自治領などがあります。英語を学ぶ上では、英語を第一言語としている国が最適ではあるでしょう。英語の勉強先(英語留学)としての日本から比較的近いところで人気が高いのはオーストラリア、ニュージーランド、フィリピンとなっています。

世界で使用される言語ランキング

1位 英語15億人
2位 中国語11億人
3位 ヒンドゥー語6億5,000万人
4位 スペイン語4億2,000万人
5位 フランス語3億7,000万人

全世界インターネット利用人口41億5,693万人

1位 英語10億5,276万人(25.3%)
2位 中国語8億463万人(19.4%)
3位 スペイン語3億3,789万人(8.1%)

英語話者人数順位

1位 アメリカ
2位 インド
3位 パキスタン
4位 フィリピン
5位 ナイジェリア
6位 イギリス

日本からの距離と移動時間

日本を完全に離れ二度と日本に戻ることはないという人以外は、日本との移動の利便性を考慮する必要があると思います。そのことから、日本からの直行便がある国が優先となり、その次には飛行機での移動時間や時差となり、そういった意味ではアジア・オセアニア周辺が最適になると考えます。
この条件に含まれるのは、イギリス英語に近い第一言語を使うオーストラリア・ニュージーランド、英語公用語圏ではフィリピン、マレーシア、グアム、サイパン、香港などが候補になります。

物価

他国で生活していく以上、さらには年金で生活しようとしている以上、気になるのは物価です。
上記の候補を2020年の生活コストが高い国ランキング(CEOWORLD MAGAZINE)に照らし合わせると、

4位 日本
9位 シンガポール
11位 香港
16位 オーストラリア
17位 ニュージーランド
20位 アメリカ

となり、この順位を元に考えると日本の物価の高さとの比較から他国を検討している場合、上位に入る国は必然的に候補から外れますので、フィリピン、マレーシア、グアムなどが候補なります。

治安

イギリスの経済平和研究所(Institute for Economics & Peace)のデータを基にした世界平和度指数での候補国は以下の順位となります。※これは世界治安ランキングではないので注意が必要とのこと。例:TOP10に入っている国でも日本より犯罪発生率がかなり高い等。

2位 ニュージーランド
6位 カナダ
7位 シンガポール
9位 日本
13位 オーストラリア
16位 マレーシア
45位 イギリス
128位 アメリカ
134位 フィリピン

この順位を鑑みるとニュージーランド、カナダ、オーストラリアの第一言語国、次には公用語のシンガポール、マレーシアとなります。

総評(完全個人的主観)

私の場合、年金生活ではなく就労目的だったこと、日本への帰国時のアクセスの良さ、物価などを考えてフィリピンを選びました。治安に関しては、実際に候補の国を訪れてみて、どこの国であっても日本より治安が良い国は無いと肌で感じました。世界平和度指数でアメリカが128位ということもあり、それぞれの国のそれぞれの場所で治安も異なり、一概に判断できないと考えています。実際にフィリピンに住んで3年半以上が過ぎましたが、一度も危険な目に遭ったことはありません。もちろん常に日本では無いという意識と注意をしています。
言語に関して、上位の候補に残ったマレーシアと比較して英語を話せる人の割合が圧倒的にフィリピンの方が多かったことも決めての一つです。フィリピンでは街中ほとんどの人が英語を理解します。そのためどこへ行っても大抵は英語で通用します。どこの国に行くとしてもコミュニケーションは絶対に必要なので、ある程度の英語力は必要です。
とはいえ、現地語のフィリピン語(マニラ周辺ではタガログ語)が通常使われる言語となりますので、フィリピン語を話す方がより現地フィリピン人と仲良くなり生活もずっと楽しくなります。私は今では片言のタガログ語も話せるようになりました。

メトロマニラでの月平均の生活費の例

メトロマニラ パサイ市コンドミニアム家賃: 35,000ペソ(約74,100円)
Wi-Fi: 2,500ペソ(約5,300円)
電気代: 2,000ペソ(約2,000円)
水道代(飲用以外): 100ペソ(約210円)
食費など生活に必要な物: 24,000ペソ(約50,800円)※スーパーで週一回平均約6,000ペソ(約12,700円)
昼食(外食): 5,000ペソ(約10,600円)程度/月
その他予備費(友人との外食や衣料品購入などを含む): 10,000(約10,600円)〜20,000(約21,200円)ペソ程度
私の場合78,600ペソ(約166,370円)〜88,600ペソ(約187,540円)が大体の月平均となります。これは特に贅沢せずに、かと言って究極の節約もしていません。しかし、これは日本で言うと東京の中心部で生活しているような状態で、少し都心部から離れるだけで家賃が下がりますし、買い物もローカルマーケットなどではもう少し安くなります。またセブやバギオなど地方都市だとほとんどの相場が下がり安くなります。
※お昼は節約のために大抵はローカルレストランで済ませます。
※スーパーの内訳は下記に記載
※外食や出掛ける際の費用は別途追加(下記参照)
※お酒は飲みません。

住宅に関して
住宅を購入した場合には家賃が不要になり、月々の固定費を抑えることができます。
しかし、フィリピンでは外国人の土地の購入は認められておらず、コンドミニアム(日本でいうマンション)等の購入は可能です。土地について長期リースは可能です。
コンドミニアムの購入費は、メトロマニラ中心部の場合、ギリギリ2名で居住可能と思われる1ルーム(20平米〜30平米程度/ 簡易の仕切りのベッドルームとダイニングキッチン)で約500万ペソ(約1,024万円)ほどから購入することが可能です。こちらも現地で実際の広さや立地条件など本人の目で確認する必要があります。※コンドミニアムの場合は月々の管理費約2,000ペソ(約4,100円)〜3,000ペソ(約6,140円)程度が必要です。

その他参考料金(あくまでも目安です)
コンドミニアム家賃:
マカティ, BGC, パサイ市, マニラ市など 中心部 30,000ペソ(約63,500円)〜/1ルーム
ケソン市, アラバン等 25,000ペソ(約52,900円)〜/1ルーム
駐車場: 5,000ペソ(約円)10,590〜/月
バイクの駐車場: 1,500ペソ(約3,180円)〜/月
メトロマニラ郊外アパート家賃: 10,000ペソ(約21,170円)〜/1ルーム
メトロマニラ郊外一軒家家賃: 30,000ペソ(約63,500円)〜
※家賃は外国人が住む為の施設やセキュリティがある程度しっかりしている前提での目安。

レストラン:
日本食レストラン1,000ペソ(約2,120円)〜/1食
日本のラーメン: 500ペソ(約1,060円)〜/1食
フィリピン料理レストラン: 300ペソ(約640円)〜/1食
フィリピン料理有名レストラン: 800ペソ(約1,700円)〜/1食
カレンデリア(ローカルレストラン): 80(約170円)〜100ペソ(約210円)程度/1食
マクドナルド: ビッグマックセットMサイズ 190ペソ(約400円)
飲用水:
19L(5ガロンボトルは別途): 80(約170円)〜150ペソ(約320円)/詰め替えの水のみ
500mlボトル: 20(約40円)〜30ペソ(約60円)程度/1本
家政婦さん: 住込8,000(約16,900円)〜15,000ペソ(約31,750円)程度/月、通い10,000(約21,170円)〜20,000ペソ(約42,300円)程度/月。※家政婦さんの経験や能力、依頼する仕事内容などにより変動します。

スーパーの相場
牛肉: 250ペソ(約530円)〜/1kg
豚肉: 200ペソ(約420円)〜/1kg
鶏肉: 150ペソ(約320円)〜/1kg
米:フィリピン米最安40ペソ(約85円)程度〜/1kg
フィリピン産日本ブランド米: 60(約130円)〜200ペソ(約420円)程度/1kg
卵: 100(約210円)〜120ペソ(約250円)程度/12個入り
キャベツ: 50ペソ(約100円)程度/1玉
玉ねぎ: 50ペソ(約100円)程度/5個入り
じゃがいも: 70ペソ(約150円)程度/5個入り
マンゴー: 200(約420円)〜250ペソ(約530円)程度/1kg
パイナップル: 150(約320円)〜200ペソ(約420円)程度/1個
食用油: 200ペソ(約420円)程度/1L
オリーブオイル: 600ペソ(約1,270円)程度/1L
ネスカフェゴールド: 600ペソ(約1,270円)/200g
ネスカフェクラシック: 200ペソ(約420円)/200g
日本産キューピーマヨネーズ: 310ペソ(約660円)/500g
日本産カップヌードル 170ペソ(約360円)/1個
タバコ(マルボロ): 110ペソ(約230円)/1個
タバコ(メビウス): 110ペソ(約230円)/1個
タクシー: 初乗り40ペソ(約85円)以降250m毎に3.5ペソ(約7.5円)
空港タクシー(イエロータクシー): 初乗り70ペソ(約150円)以降300m毎に4ペソ(約8.5円)
フィリピン発ブランドの洋服:
ポロシャツ700(約1,480円)〜1,000ペソ(約2,100円)程度
ズボン: 800(約1,700円)〜1,500ペソ(約3,180円)程度

まとめ

日本以外の国に住むには、金銭面の問題だけではなく、まず対象の国の国民性や雰囲気、風習や文化など、実際に感じる必要があると思います。
また、外国人への対応や扱い、あえて言うなら親日国かどうか。
それ以外にも医療技術や病院、食事、気候など個々人で感じ取らないと分からない部分が多いと思います。
今では様々な情報がインターネットで入手出来ますが、最終的には自分の感覚になります。フィリピンではビザ申請なしで30日以内の滞在は可能(入国時に出国チケット必要)。以後は現地イミグレーションにて最大3年まで観光ビザを数回に分けての延長が可能です。その制度を利用し、中期的に住んでみるのが一番だと思います。

私にはフィリピンの風習や文化、何よりフィリピン人の持つ優しさなどの人間性が合っていて住んでいて苦労はなく、むしろ日本にいるより快適で、年中半袖の温暖な気候、いつも笑顔のフィリピン人の中でゆっくりと流れる時間に満足しています。しかし一方では経済格差がありホームレスやストリートチルドレンがいたり、慢性的な渋滞があったり、日本とは治安の違いがあったり、様々な部分があります。一部の移住成功者の良い意見だけに偏らず、悪い部分もご自身で感じた上での最終的な判断をお勧めします。

(SHIN)